サムスン・ファウンドリが独立すべき理由、しない理由

サムスン電子がファウンドリ事業を独立させるという見方が出ている。
サムスン電子がファウンドリ事業を独立した子会社として分離する可能性が取り沙汰されている。複数の韓国メディアが報じている。
 ファウンドリ事業の分離案が出るのは、同社内に半導体設計を行う事業(システムLSI事業部)があるからだ。ファウンドリはクアルコム、NVIDIAのなどの半導体設計のみを行うファブレス企業などの発注を受けて生産をするが、顧客の立場からすれば、サムスン電子はシステムLSI事業部において「エクシノス(Exynos)」というブランドで半導体(AP)の設計を直接行っていることから、自社製品の秘密が流出する可能性について考慮せざるを得ない。このようなジレンマを解消するため、サムスンはファウンドリ事業を独立させるという見方が上がっている。
23日に報じられたブルームバーグニュースにおいても、サムスン電子がチップの設計ノウハウをコピーするのではないかいう懸念のため、各ファブレス企業は生産委託に踏み切れないと指摘している。

世界のファウンドリ事業における最前線は7ナノ以下の超微細工程に突入しており、台湾TSMCがトップを走る。サムスン電子は業界二位の座にはあるが、クアルコムやアップルなど大口顧客を抱えるTSMCのシェアの方が圧倒的に高い。
 しかし、サムスン電子の関係者からファウンドリ事業の分離を示唆する
声は、意外にもあがっていない。韓国メディアの取材に対し、サムスン電子の関係者は、ファウンドリ部門の独立の話はないと答える。
韓国メディア・アジアトゥデイは以下のように指摘する。「ファウンドリ事業部がサムスン電子に所属している限り、100兆ウォンに達する現金をもとに極紫外線(EUV)プロセス技術の開発に積極的に投資することができる。 また、サムスン電子の多くの特許や有能な人材をフルに活用できるが、独立すれば、このようなすべての利点を放棄しなければならない。この点を無視するのはあまりにも大きなリスクだ」
 
 最近はGAFAなどIT大手が独自チップセットの開発に熱を上げており、ファウンドリ市場自体がさらに拡大する可能性が指摘されている。
 Googleはテンサー・プロセッシング・ユニット(TPU)、Amazonはグラビトン(Graviton)を直接設計している。 アップルはAシリーズを、フェイスブックも独自のチップセット開発のために人材を集めているという。 特にGoogleやAmazonの場合、自分たちの主力事業分野である人工知能(AI)およびクラウドビジネスのためのチップセット開発に熱心な模様だ。これら IT大手は、設計能力はあるが、これを量産できる大規模な設備がないという共通点がある。
 また、ファウンドリ最大手であるTSMCに発注が集中していることから、同社の供給力にも限界が来ている可能性が取り沙汰されている。
韓国のチョソンビズが9月に報じた所によると、「7ナノ工程の委託生産に顧客が集中するTSMCは、リードタイム(製品購入から引き渡しまでの期間)が通常2ヶ月から6ヶ月にまで伸びたという話が出てき」という技術関係者の話を紹介。同関係者は「そうなれば、TSMCに委託生産を依存しているAMD・アップル・HUAWEIなどのメーカーは製品生産に支障が生じることから、次善の策として、サムスン電子に生産を任せるしかなくなるだろう」と述べたという。
サムスンは先日、中国の百度(バイドゥ)のAI半導体・クンルン(KUNLUN)の生産を受託したと発表している。
(写真:サムスンファウンドリ工場全景=サムスン電子提供)

コリア・エレクトロニクス

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